えー、寅屋の羊羹をお持ちしました。
「えらい!さすがじゃ。ワシはちょうど寅屋の羊羹が喰いたいと思っとったとこよ。」
それは何よりでしたね。
「まさしく、まさしく。なんじゃな、ワシと貴公はツーとカーじゃな!」
はい。
「竹馬の友じゃな!」
はあ。
「立て板に水じゃな!」
いいえ。
「なんと!」
センセイ、お話があるのですが…
「貴公は片平なぎさに似ておるのう。」
僕は男です。
「似てないなんて言ったってダメじゃ。著しく似ておる。あごのラインがそっくりじゃ。」
僕は男です。
「で、なんの話かな? 片平くん。」
困ったことに巻き込まれてしまいまして、センセイにご助言頂きたいのです。
「ご助言、ご助言! 片平くんはいつも困ったことに巻き込まれておるのう。心痛の極みじゃな!」
はい。
「光陰矢の如しじゃな!」
いいえ。
「なんと!」
センセイはご存知ないかもしれませんが、実は僕のフィアンセが失踪しまったのです。
<つづく>
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